- 作者: 和月伸宏
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/04/04
- メディア: コミック
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打ち切りという最後はショックだったですが、一方で当然だろうという思いが僕の中にありました。
和月先生のマンガって、絵は平凡な方だと思いますが*1、作品の話作りにかける思いが凄く熱く
そこを理解できる人の年齢層は高くなるだろうと思いますから*2。
和月先生のマンガの楽しみ方って、
- とりあえず本誌で読む
- コミックスで読む
- コミックスの余白ページのライナーノーツから作者の思いを読む
- 余白ページの情報を頭に入れた上でもう一度コミックスを読む
……という流れだと思うんですよ。
全部のこの作品のファンの読者がそうしているとは思いませんが、少なくとも僕はそういうプロセスを経た上で、この作品を楽しんでいました。
あ、僕、連載雑誌の方は全く読んでなかったから(1)はやってないですね。
でも、そういう楽しみ方をしている人はたくさんいたと思います。
和月先生からアンケートの結果を聞くと、バトルの評判がよくなかったみたいですが、
僕はそんなに悪いと思ってませんでした。
バトルばっかだと話の筋が単純になってしまうし、かといってコメディばっかでもないし、バランスは取れていたかと。
ただ、原作を尊重したアニメで顕著だったのですが、全体的に詰め込みすぎの印象を強く受けました。
若干動きのない絵に、描き文字とネーム*3がギッシリ詰まっているマンガを10冊読んだ感じです。
また、ライナーノーツを読んで「和月さん、何を好きこのんで、少年誌に向かない事を敢えてやろうとしてるんですか?」とツッコミを入れて読んでいたりもしました。
このマンガ家さんはもう、物凄く真面目な人だと思うんですよ。
「プロの商業マンガとして作品として表現する以上、現状に甘んじず何かしらの挑戦をしないと読者に失礼だし、
自分のマンガ家としての今後の成長もない」と思って描いているのだと思います。
ただ、そういった複雑さの部分が、ジャンプの主たる読者層であるやや年少の小学生高学年あたりの読者に嫌われて
アンケート順位低下→打ち切りになってしまったのでは、と思っています。
打ち切りといっても、その時点と状況でやれる事はキチンとやって作品を終えた*4という感じを受けているので
途中で放り出したという印象は全くないですね。
多分、増刊で読み切りを描かせてもらえた理由として、アンケート順位は低いけどコミックスはそれなりに売れていたんだと思います。
人気はキッチリあったから、連載終了から一年くらい後にアニメ化したとも思うし。
僕個人としては、ヴィクターとの戦いは殺さないカズキらしい終わり方だと思いましたが
蝶野との決着は正直描ききっていないように思います。
そして、蝶野が普通のホムンクルスとは違うどういう進み方をするかにも興味あったし。
作中では、もう人を殺さない、食べない、ただの変人になっていましたが、僕はあの姿が正しいとは思ってなかったから。
だから、あと2〜3冊描いてホントの蝶野はこうだったんだよというのが見たかったです。
ただ、続けるとなると、ジャンプお得意のバトルトーナメントで
ひたすら錬金戦団とホムンクルスのバトルが延々と続くのを読むのもイヤだったので、このくらいで丁度ヨカッタのかもしれませんね。