- 作者: 森薫
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2008/04/25
- メディア: コミック
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今流行のメイドマンガだと思われる方がいらっしゃるかもしれません。
作者も「やりたい好きな事やってみました」なんて、あとがきマンガで描いていますが、
単純にそうじゃないんですよね。
時代考証とかもキチンと固めて、さらに手を抜かず描き込んだ背景などの絵柄も入れて
そこまでしてキャラに萌える行動させてるんで。
アニメで第一期、第二期と分けて放送されています。
マンガだと2巻までとそれ以降ですね。
全10巻という冊数を考えるとバランスが悪いようですが、僕はこの分け方は非常に正しいと考えています。
2巻はエマの雇い主のケリーさんが亡くなるまでですが、それまでとそれ以降でこの作品は全然違います。
僕、ケリーさんって好きですねえ。
彼女、過去の回想でエマを雇う時に、「エマを使う事で教育の力を見てみたい」と
いった事を発言しますが、その言葉こそがこの作品のテーマだと思います。
ジョーンズ坊ちゃんと恋仲になった時、ヴィヴィアンが「顔で兄さんをたらしこんだ!」と蔑みますが、
そうでない事は読者である僕たちが知っているわけで。
他には「真夏の夜の夢」の一節を、新しい主人のドロテア奥様が口ずさんだ時にエマが言い当てたシーンで
「あなたはホントにメイドなのかしらね」と言うシーンも好き。
7巻で本編は終了して8巻から10巻まで3冊外伝が続きます。
僕は最初外伝は好きではなかったのですが*1、最後まで読んで、これらのお話も描かれてヨカッタと感じました。
最後がエマと坊ちゃんの結婚式というのもヨカッタ。
あと、何の取り柄もないターシャが同室のよしみでエマと友達というのも何となくチョットした運命が縁づけたという部分も好きです。
最後に評価すべき点として、連載開始当初から最後まであまり絵柄に変化がない事です。
イヤ、結構多いんですよ、連載当初と中盤くらいで絵が全然違う作品って。
かのスラムダンクの井上雄彦先生が、自分が未熟者だと、とある番組*2で言っていた理由なんですから。
ともあれ、一度最初から最後まで通して読んでみる事をオススメしたいです。
19世紀末から20世紀初頭頃のイギリス社会の縮図を見られると思います。